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歴史的な定義の遷移

2007年現在、白血病の定義は過渡期にある。そのため用語が混乱している点が多々あるため、それらの歴史的な遷移を理解することは非常に有効である。残念ながらクリアーカットな定義というものは2007年現在の医学水準では不可能であり、その混乱の中で診療を行い続けなければならない。

もともと、白血病とは末梢血中に白血病細胞(今でいう芽球)が出現する病気として定義された。臨床症状が出現し、医療機関を受診し死亡するまでの期間を観察すると経過の早い群と遅い群がみられ急性白血病と慢性白血病と分類されるようになった(治療法がある現在ではまず行われない)。経過が早い群では芽球が著しく増加しているのに対して、経過がゆっくりとした群では成熟した白血球が増加していることがわかってきた。そのため、急性白血病は分化障害があり白血球裂孔が存在するのに対して慢性白血病では分化障害はなく末梢血に様々な分化成熟過程の白血球が出現する(すなわち白血球裂孔が存在しない)と理解されるようになった。末梢血の芽球の成熟過程によって分類されるようになったのである。やがて、白血病は幼若な白血病細胞が骨髄で増殖する腫瘍性の疾患であるということがわかってきた。また白血球だけではなく他の血球でも同様の病態が生じることがわかってきて骨髄増殖性疾患という概念が生まれた。
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白血病を理解するにおいてリンパ腫の定義も知っていなければならない。リンパ腫とは異常なリンパ球がリンパ節をはじめとするリンパ組織で増殖しそこで腫脹する病気として定義された。そのため悪性リンパ腫で腫瘍細胞が末梢血中に出現すると白血病の古典的な定義を満たしてしまい白血病と言えてしまうこととなる。悪性リンパ腫と白血病が区別できなくなると非常に困るので、そのような病態を悪性リンパ腫の白血化と呼ぶこととなった。定義上はリンパ腫は白血化しない限り、末梢血に白血病細胞が見られることはない。リンパ球にはリンパ節という器官があるため非常に病態の解釈が難しい。骨髄でリンパ球の異常が起こり、白血病となりリンパ節に浸潤したのか、リンパ節で異常がおこりそれが白血化し骨髄浸潤をしたのか区別できなくなるのである。2000年のWHO分類以降リンパ性白血病と悪性リンパ腫を無理に区別することはないということとなっている。実際、慢性リンパ性白血病ではリンパ腫が先行したものでそれが白血化したものに過ぎないと考えられている。WHO分類でもリンパ性白血病とリンパ種は本質的には同じもので両者の区別を行う意義はないと考えられている。しかし急性リンパ性白血病は症候学にリンパ腫よりも急性骨髄性白血病に近いため、リンパ性白血病を全てリンパ腫として扱うという考え方は臨床家には受け入れられない。そのため、古典的には急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病を急性白血病として纏めるという方法がとられている。

もうひとつ、骨髄腫という概念もある。これは形質細胞が腫瘍化したものであるが、不思議なことに骨髄で腫瘍化する。長命の形質細胞は骨髄循環に適応しているので,骨髄で増殖してもおかしく無いとも言える。一応、WHO分類ではB細胞性腫瘍に分類はされている。

近年、がん幹細胞仮説というものが提唱されているが、これは急性骨髄性白血病にて考案された仮説であり、この分野の概念の移り変わりが非常に早いことを示している。WHO分類なども改訂される予定であり医学の進歩をこれからも感じられる分野である。

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2009年06月19日 07:01に投稿されたエントリーのページです。

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